ブランドデザイン委員会副委員長 上島 茂明
売上を上げる為、コストを下げる為、また社員間や取引先様とのコミュニケーションを円滑にする為など、企業経営のあらゆる場面でIT(コンピュータ)が活用されています。
この様な環境化において、「クラウドコンピューティング」と呼ばれる新しいITの活用形態が出てきました。
クラウドは大企業向けのサービスだとか、セキュリティーが不安などの声もお聞きします。
本当にそうなのでしょうか?これから中小企業の皆様に役に立つ情報や、有用なサイトをご紹介していきたいと思います。
◆クラウドコンピューティングとは?
簡単に言うと「インターネット上のサーバーにデータやソフトウェアが有り、どんな端末からでも同じ情報にアクセスし、同じソフトウェアが利用できるサービス」と考えることが出来ます。
◆クラウドコンピューティングのメリット・デメリット
それでは、クラウドコンピューティングのメリットは何でしょうか?
企業の規模や、利用するサービスの内容によって異なってきますが、一般的には
・(一概には言えませんが)導入コストが安い。
→自社でサーバやソフトウェアを購入する必要が無く、費用は利用人数等の応じて年額
や月額支払い支払う為、余分な投資の必要が無く、また、支払いが平準化されます。
・サービスなので企業規模や人数の増減に柔軟に対応できる。
→テスト導入後、使用数を追加し本格導入を行うなどが可能です。
・導入スピードが速い。
→サーバもソフトも既に準備されているので、速やかな導入が可能です。
・情報の一貫性により、モバイルコンピューティングとの親和性が高い。
→サービスの種類によっては今流行のスマートフォンやタブレット端末の活用も可能です。
・BCP(企業の継続性)対策として有効
→今大規模地震が起きたら、貴社のサーバは大丈夫ですか?
一般的にクラウドサービスを提供するデータセンターは、回線や電力引き込みの多重化や自家発電装置、建物やサーバーラック等、耐震・免震等により、地震に強いものとなっています。
等が上げられます。
これらのメリットを有効活用し、サーバや運用要員を自社で準備することなく、要員を含め本業の商売に集中する「持たざる経営」を実現することが可能となります。
◆クラウドコンピューティングのデメリット
デメリットとして一般的には下記のようなものが考えられます。
・カントリーリスク
→サーバが日本国内だけでなく世界中に設置されている事から、利用国の法律に伴う捜査・その他事情によりサーバ等の使用を停止されるなどのリスクが考えられます。
また、ネットワークそのものが国によって遮断されることも考えられます。
・サービスの停止に伴うデータ移行のリスク
→サービス提供会社の倒産や、事業の停止に伴うサービスの停止等のリスクが考えられます。
・ネットワーク環境に伴うリスク
→インターネットを利用して接続しますので、ネットワークの環境によって接続スピードが依存されます。
また、通信事業者によるネットワーク事故等によっても影響を受けます。
・使えるアプリケーションがまだ少ない
→当初はグループウェアやメールが中心でしたが、現在は会計・給与・販売管理など基幹業務についてもサービスが増えてきました。
これから多くの企業のソフトがクラウドサービス化されることが、検討されています。
等が考えられますが、これらのリスク・デメリットは、事業者の選定時に考慮することによって、軽減することが可能ですので、それほど恐れる必要は無いと思います。
◆セキュリティーへの不安について
クラウドは手元にデータが無い為、セキュリティーに対する不安を口にされる方が多数いらっしゃいます。
しかしメリットのBCP対策でも述べました様に、一般的にデータセンターでは企業での自社導入とは比較にならないほどの安全対策が施されています。
一例を挙げますと
・セキュリティー対策
厳重な入退出管理
ビル:フラッパーゲート、IC認証等、
サーバルーム:生体認証、監視カメラ、友連れ防止ドア等
・障害対応
各種二重化、サーバやネットワークの死活監視、バックアップ
・災害対策
地震対策:免震ビルや免震フロア・免震ラック等、自家発電装置等
立地の検討(水害想定区域外や活断層の有無等)
火災対策:窒素系ガス系などの消化設備
・SLA(サービスのレベルをどの程度保障するのかを定めた契約)
稼働率保障等
等です。
サービスの活用に当たっては、費用と事業者・サービスの内容等を比較検討し、どこまで許容できるかを判断し、契約を行うことが必要です。
そうすることが、無用なトラブルや、こんなはずではなかった等の後悔をしない最良の方法だと感じています。
◆クラウドコンピューティングの種類
クラウドコンピューティングには明確な定義や構成要件が定められているわけではない為、サービス提供企業や使う人、場面によって微妙に意味が異なる場合があります。
そのため、ここでは良く聞く分類についての説明を行います。
・SaaS(Software as a Service)
SaaSは、インターネットを経由してアプリケーションやソフトウェアを提供するサービスです。
サービス型ソフトウェアとも呼ばれるています。
・PaaS(Platform as a Service)
PaaSは、ハードウェアやOSなどの基盤(プラットフォーム)一式を、インターネットを経由して遠隔から利用できるようにしたサービスです。
契約者が、自分のシステムを稼働させることが出来ます。
・HaaS(Hardware as a Service)
IaaS (Infrastructure as a Service)とも呼ばれています。
CPU処理能力やメモリ、ストレージといったハードウェア資源をインターネットネットを経由して提供するサービスです。
PaaSよりも契約者にとって自由度の高いサービスです。
・プライベートクラウド
大企業等が自社ネットワーク上で利用するためのクラウドコンピューティングシステム
・パブリッククラウド
インターネットから誰でも利用できるようなサービス。
◆クラウドコンピューティングを知るのに参考になるリンク集
★NECネクサソリューションズ
http://www.nec-nexs.com/management/cloud/
★5分でわかるクラウド・コンピューティング
http://www.atmarkit.co.jp/fnetwork/rensai/5mincloud/01.html
★メーカ系のHP例
NEC
http://www.nec.co.jp/solution/cloud/
IBM
http://www-06.ibm.com/ibm/jp/cloud/
富士通
http://jp.fujitsu.com/solutions/cloud/?md=sl-sl-cloud
日立
http://www.hitachi.co.jp/products/it/harmonious/cloud/
以上